「そ、それだけ!じゃあ」



踵を返して行こうとすると、「待ってよ」と桐谷に腕を掴まれた。



「せっかくだから、駅まで一緒に帰ろ」


「はあ?なんで私があんたなんかと…」



いいじゃん、と言って桐谷が腕を引っ張ってきた。


結局押しに負けて、桐谷の数歩後ろを歩いてついていく。



「ねえ杏奈ちゃんっていつも放課後なにしてんの?」


「…なんであんたに私の放課後を話さなきゃいけないの。別に普通だし」


「ふーん?友達作んないの?」


「な…っ、私にだって友達くらいいるし!他校だけど…」


「へぇ、そうなんだ。どんな子なの?」



興味津々といった感じで軽く首を傾げてきた桐谷に、双葉の顔を思い浮かべる。