どうやって話しかけようかと柱の後ろに隠れて様子を窺っていると、視線に気づいたのか、振り返ってきた桐谷と目が合う。



「あ、えと…別についてきたわけじゃないから!」


「ん?うん。…え?なんか俺に用事?」



何かを察したのか、桐谷が一歩近づいて顔を覗き込んできた。



「だ、だから、あんたに言いたいことがあるわけじゃなくて…」


「あるんだ。なになに?聞かせてよ」



ん?と優しく微笑まれ、混乱していた頭が少しずつ落ち着いてくる。


そして…。



「…昨日はありがとう」



自分でも驚くくらいすんなりと言葉が出てきた。



「え、昨日?…あ、放課後のことか。そんな、わざわざいいのに」