「な…っ、バカじゃないの。今のは反射的に答えちゃっただけだし」



なんだか恥ずかしくなって、ぷいっとそっぽを向く。



ありがとう、のたったひと言が言えないまま、気づけば放課後になっていた。



「京平もう帰っちゃうのー?今日はユカと遊ぼうよー」


「んーごめんね。今日バイトだから」


「えー。京平ってどこでバイトしてるのぉー?いつも教えてくれないよねー」


「ミステリアスな男の方が萌えるでしょ?いつか教えてあげるって」



廊下に出てしまった桐谷を慌てて追いかける。


だけど話しかけようにも女子が周りにまとわりついていて、できない。



靴箱まで来て、やっと桐谷が一人になった。



「…あれ、杏奈ちゃん。今帰りなの?」