「はー?なんだよまたエロいことしてたのかよ」


「ちげぇよばーか」



笑いながら登校してきた桐谷にどきっと心臓が飛び跳ねる。


ダメだ、動揺するな。落ち着け。



そう自分に言い聞かせていると、隣の席に鞄を置いた桐谷がこちらを向いた。



「おはよー、杏奈ちゃん」


「…うん」



いや、「うん」ってなに。


自分に自分でツッコミながら隣を見ると、なぜか桐谷が驚いたようにこちらを凝視していた。



「え、なに…?」


「…あ、いや。杏奈ちゃんが返してくれるなんて珍しいと思って」