「……」
「僕の心が、」
「……」
「あなたに……」
「……え」
ーー私が駅のホームで落としたものは?
「ずっと、この駅であなたのことを見ていて声をかけたいと思っていて、でも勇気が出なくて僕みたいな年下、相手にしてくれるかなとか思ってて、でももう我慢できなくて……!」
「あの、」
一気に言い切ったあと、それはそれは小さく聞こえないくらいの音量でマフラーで口元を隠しながら彼は呟いた。
「ひと目惚れ、です」
「……」
「……こんなずるい声のかけかたで、すみません」
一歩後ずさって彼は申し訳なさそうに頭を下げた。
私より大きいはずの彼がすごく小さく見えて思わず胸が熱くなる。
「僕と、その、付き合って、ください……!」
この “ 落とし者 ” を
拾うか?
拾わないか?
私次第ーー。
【落 ち ま し た よ】おわり