「僕、疾風となるべく一緒に行動する」

 とある日。
 唐突に稔がそう言い出した。
 私と可憐ちゃんはキョトンとする。
 疾風は図書館にいてそばにいない。

「なんか、この前廊下にいたら、背後から疾風を見つめる女の子がいて怖かったし。目の鋭い髪の長い子!」
「それ真由! 身長は普通で細身なら真由本人だよ!!」
「やっぱりか、可憐」

 うーむと古臭く唸る稔。

「押しが強そうな印象だし、僕が疾風に付きまとうよ。何かあってからじゃ遅いし」
「ありがとう、稔」

 天使の微笑みを浮かべる可憐ちゃん。
 それに真っ赤になる稔。