疾風は満足そうにほほ笑んで言った。
 窓越しの青い空に白い歯が綺麗に光って歯磨き粉のCMみたいだった。
 やっぱり疾風はカッコいい。
 そんな時、鋭い視線を感じた。
 見てみると、この前の女の子、真由がひどく悔しそうな顔でこちらを見ていた。
 そして、私の視線に気がつくとあかんべをして逃げていく。
 え、え?? 何??

「明日花、どうした?」
「ん。別に。何でもないよ疾風」
 
 怖すぎて顔がひきつりそうな私。
 真由って女の子、絶対性格悪い。
 きっと真由と可憐ちゃんは過去に何かあったんだ。
 じゃないとあんなに気の強い可憐ちゃんが学校を休むわけない。なんて、悩んでいると。

「ところで何借りた? 本」

 疾風がそう質問してきたので、私は頭の中を切り替えざるを得なかったのだった。