「さ。行こう、可憐ちゃん」
「あ。うん。明日花ちゃん」

 私は強引に可憐ちゃんの手を引いた。
 それでも可憐ちゃんは動けない。
 石のように、固まってしまっているのだ。
 そうこうしていると、真由たちはわざとらしく吹き出した。

「うわー友達も地味―」
「冴えないよね、取り巻きなんじゃない? お金配りでもしたんじゃん?」
「お金持ちだもんね。お・か・ね・も・ち!!」
「あはははははは」

 真由たちの言葉の牙は私にも向けられる。すると。

「ねえ! 人の友達の悪口言わないでくれる!?」

 可憐ちゃんが吠えた。さっきまで怯えていたのが嘘のように。
 ビクリとした真由たちは目を丸くして可憐ちゃんを見る。
 そんな真由たちを睨む可憐ちゃんの足は、小刻みに震えていた。