「今からどうにかすればいいげんね」

 思わず方言を出しながら、私はひとりつぶやく。うん。
 何もできない今だけど、いつはきっと変われるはずだから。大丈夫。
 一生懸命前向きに考えようと切り替える私。

「可愛いは誰にでも作れるんだから、もっと自信持ってよ。明日花ちゃん」

 私はそんな事ないってずっと思ってた。
 けれど、最近はそうじゃなくなってきている自分がいる。
 だって最近の私は前よりずっと可愛いもん。
 笑顔も増えて、自分で言うのもなんだけどなんだか別人みたい。
 でもそれってオシャレとかそういう理屈じゃないよね。きっと理由は可憐ちゃんだけじゃない。稔や疾風もいてこそだよね。何より私……。

「明日花ちゃん? どうしたの? ボーッとしちゃって」
「ううん、何でもないよ! 可憐ちゃん」
「そう? 顔真っ赤だけど」

 やばい。また疾風の事考えてた。最近気がつけばいつだって疾風のことで頭がいっぱい。
 いけないのに。疾風は受験生なんだから、下手にアタックして困らせたくない。
 そうでなくとも、アタックなんか絶対できないけれど。無理。
 誰かに恋心を知られるのすら、怖い。
 もし、今心の奥を誰かに覗かれたら死んでしまいたい。