今日も疾風はどこかグッタリしていて具合が悪そうだった。
私たちは彼の顔色を窺いながら課題をやっていた。ジリジリと熱くなってきた。
最近は、その暑さが私を更に焦らせて、前へ進ませようと押し出すようにせかしているような気持ちになる。
このままじゃ夏休みになって完全に学校が毎日休みになって、しまいには不登校になってしまうぞ。と見えない誰かに囁(ささや)かれそうな感じ。
私だってそんなの正直わかってる。その可能性がだいぶ高いことを、自覚している。
だから早く教室へ戻らなきゃ行けないのに、いまだ給食すらも自力で取りに行けてない私がいて。
私の馬鹿野郎。
甘ったれ。怠け者。ダメ人間。
そんなふうに自分で自分を煽(あお)ってみても、そうだね、そうだねと心の中の自分は否定すらしない。這いずってでも誰かが教室に連れてってくれればいいのに、なんて馬鹿なことさえ考え出す始末。
そんな、私。
他人頼りじゃダメなのに。
「疾風、無理すんなよ」
私が自分のことを考え込んでいると、疾風に声をかけたのは稔だった。