「お前ら。そういうの迷惑だから、やめてくれないか?」
「はーい」

 渋々という感じに、可憐ちゃんと稔が言う。
 なんかすごくつまらないって顔をしてるけど、人で遊ばないで欲しい。
 こっちは恥ずかしくて仕方がないんだから。
 結局その後からからわれるたびに疾風が二人を睨むので、ちょっかいはなくなった。
 ホッとする私。これ以上胸の奥を掻(か)き回されたら、頭も心もおかしくなっちゃいそうだよ。
 放課後のチャイムが鳴り、空がオレンジ色に変わる頃、私たちは他の生徒たちが消えさるのを待つ。
 その後。保健室の先生の合図でそれぞれ片付けを開始して、帰るのがいつものルーティン。

「じゃあ、私帰るね。みんな―また明日」

 私はそう言って三人と先生に手を振って保健室を出る。
 ああ、濃い一日だった。すごく疲れた。私、正直まだ疾風を意識しちゃってる。
 疾風ってやっぱりカッコいい素敵な男の子なんだなぁ。二学年上のお兄さんだからかな、近くにある顔がすごく大人っぽかった。
 空を見上げながら、ぼんやり歩いていると。