私は呆然とあまりにも近くて生々しい疾風の顔を見上げて、すっかり固まるしかできない。
私のドギマギする心に対して、体は正反対の反応を示していた。
「ちょ、何やってるの!? 壁ドンじゃん、疾風と明日花ちゃん」
「可憐どいて。疾風大丈夫? 足完治したばっかじゃ」
じっと可憐ちゃんと稔が心配そうに私と疾風を見つめてる。
「だい、丈夫……! って。うわっ」
フラつきながら疾風は立ち上がろうとする、けど。
「きゃあああ」
疾風が滑ってグイッと私の顔にかなり接近してきてそのままその場にしゃがみ込んだ。
どうやら疾風は大きすぎてなかなかバランスが取れないらしい。
私は駆け寄ることもできずに、呆然とその場に座り込む。
「ちょっと、疾風、明日花ちゃん大丈夫?」
「いちゃつきすぎ」
「稔! 気持ちはわかるけど! なんか少女漫画みたいでお似合いだって」
「明日花も真っ赤で乙女だよな」
「うるさい稔! 可憐ちゃんだって余計だよっ」
ついつい私も反論する。