「もうひとりは空気らしー。なんかスッゲー田舎者って聞いた」
「ボッチだったんじゃねーの? で、逃げた」
「ダッサ。ウケる」
「で、今はあの美少女の引き立て役なんじゃないの? パッとしないやつはどこに行ってもパッとしないんだよ」
「だよなぁ。そもそも保健室登校ってダッサ。不登校になるか教室行くかはっきりしろよな。まあ、どっちでも空気読んで馴染めないやつはウザイだけだけど」
「わかるー学校の楽しい雰囲気壊すなよなー」
「本当。学校にそういう奴らがいるってだけで恥だしな」
畳みかけるような嫌な悪口の嵐。
やだ。やだ。嫌だ。
私は聞きたくない!
もう何も言わないで!!
誰の話も、私の話も、どうせ知ったかぶりの癖に!!
あんたたちが私たちの何を知ってるの? 私たち、あんたたちに何もしてないんだけど!?
それなのに私たちをおもちゃ感覚に笑い物にするって最低だしひどすぎるよ!!
「っ」
私が泣き出しそうになった瞬間。
チャイムが鳴って、男子生徒たちは教室に入って行った。
「はあ……」
荒々しく乱れた私の息に、更にめまいがする。
そして私が後ろを振り向くと。呆然と立ち尽くす疾風がいて。
私はさすがに声を掛けられずにいた。
疾風の目には私は入っていないようで、泣きそうな顔で固まっている彼は震えていた。
しかも話題は最悪な方法へ進んでいく。