今日は、そんな夢を見た。起きたらむなしくて喉が(かわ)いて、すごく嫌な気持ちになった。
 クラス中みんなで、小花さん、小花さんって。なんだか他人行儀。まあ、人間はみんな他人なのだけれど。
 村の友達はいつだって私をフレンドリーに明日花って呼んでくれた。
 物心ついた頃には、村のみんなが友達だった。海の近い石川県の田舎町に生まれた私は、独りぼっちも友達をつくる苦労も知らないで育った。

 パパやママの幼馴染みが近所にいたから、その人たちの子供が友達になった。従兄弟(いとこ)やはとこも遊びにきた。
 隣や近所がかなり離れてる代わりに、小学校は学年用のクラスなんかなかったし。それぞれの個性も悪いところも、気がつけばよく知っていた。

 広い海辺で爽やかな空気と一緒に走ったり、山の近く川の流れる音を聞きながらみんなで大騒ぎしたり。あの頃はなんでも許された気がする。

「もう、私、疲れたよ」

 だから村からかなり差のある都会に引っ越してきた今、私が田舎者すぎてビックリした。
 みんな中学生とは思えないぐらいバッチリオシャレだし、あか抜けているし。何より雰囲気がどことなく大人っぽい。
 オシャレなんか知らない、セミロングの髪。大きいだけが取り柄の二重の瞳。かわいい、とマスコット的には言われるけれど決して 美人ではないそんな顔立ちに、平均的な身長体重。何もしなければ埋もれてしまうようなそんなスペックの私。