窓に映る地味ーな女の子を見て、ため息。まあ私本人なんですけどね。
 はあ。もっと可愛く産まれたかったなあ。せめて、クラスで一番レベルくらい。
 可憐ちゃんみたいに市内一番とか、それくらいは望まないから。

「可憐ちゃんはいいな。クラスに入るの抵抗なくて」

 私はボソリと呟く。

「だってあたしは悪くないもん」

 なんで私が逃げ回らなきゃいけない? と言う真顔の可憐ちゃん。
 確かに正論だけど、それを貫ける強さは私にはない。
 いつだって周りに飲み込まれて流され、周りに染まって生きる。

「そうだけどさあ。私には無理だし」
「何で? 明日花ちゃん側に後ろめたいことあるの?」
「ないげんけどさー、そう言う問題じゃなくてー」
「じゃあどう言う問題?」

 まっすぐ私を見る可憐ちゃんの視線が痛い。まるで直接胸を針でつつかれている気分。

「えーっと、その」

 正論に押されて私は押し黙る。保健室で勉強しながら、私たちは唸(うな)る。

「気にしてたら、一生教室に行けないままだよ。少しでも、リハビリしないと」

 さらに正論。針追加。お腹痛くなりそう。わかってる。わかってはいるんだけど……私には実行できる勇気はない。