教室に行けなくなった私たちが再び歩き出すまで

「おはよう、明日花ちゃん」
「可憐ちゃん。おはよう。今日も可愛いね!」
「でしょー? 髪の毛を少しアレンジして、ツインテールにしてみたけどどう?」

 ふたつにふんわり結わえた髪は、前髪にイチゴのヘアピンを付けてから、シースルーのリボンでそっと縛ってある。
 リボンはキラキラ光って、可憐ちゃんそのものがまるでラッピングされているようだった。

「似合うよ、可憐ちゃん」

 私と違って、と思わずプイと拗(す)ねそうになるぐらいに。
 私が頭にリボンなんかつけてれば、笑われるに決まってる。
 地味で()えない私なんかが可愛くないのにオシャレ。
 その単語の並びだけで泣きそうなぐらいに笑えるもん。
 マイナス思考に侵される私は冷静になる。違う。
 可憐ちゃんはこんな反応望んでない。

「やっぱり?」

 可憐ちゃんはいつだって根拠に満ちた自信満々で、とても可愛い。
 色素の薄いふんわりした髪も、白い肌も、何より宝石のような大きな瞳は最高級のお人形としか言いようがない。
 同じお人形でも、ヘッポコな安物のコケシみたいな私とは、大違い。
 持ち物だって可憐ちゃんはいつもピンクと白でまとめられてる。
 それにダサい私にすらわかる有名なブランド品だって身につけてる。
 甘くていい匂いも常にするし、女の子として完璧なのでは、なんて私は羨ましく思っている。