「どうして、パパたちに話してくれなかったんだ……明日花」

 パパとママがポロポロと大粒の涙をこぼしていく。
 みんなは無言で一斉に私を見た。

「え?」
「真っ先にパパたちを頼って欲しかったよ。明日花はパパとママの宝物だからね、それが悲しくて、ついカッとなってしまった。ごめんな、明日花……」
「パパ……」

 ごめんね、パパママ。どうしても言えなかったんだ。
 大好きだから、かけがえのない存在だって思っているから、笑っていて欲しいから。大切だから、言えなかったんだーー。
 桜の木の下でみんなで新しい制服にはしゃいだ希望に溢れたあの時の笑顔がチラついて、泣きそうになって。
 とても私はふたりに悪いことをしてしまった気分になって。絶対に知られたくなかった。
 せめて、ふたりの中では楽しい学校生活を過ごしている私でいたかった。騙(だま)すなんて、それこそが裏切りと気付かないままに。

「パパママ、本当にごめんなさい。心配してくれてありがとう。大大大好きっ!!」

 泣き崩れながら私は呟く。私を真ん中にみんなが集まり抱き締められる。
 その日は疾風たちに見送られて親子で学校を後にした。
 そして親子でファミレスに行ってドリンクバーでいろんなことを空が暗くなるまで話した。

***