「ねえねえ。明日花ちゃん、何あったの? 教えてよー!」
「何にもないってば! 可憐ちゃん」
「えー? 本当? 疾風」

 面白いものを期待するように、ニヤニヤする可憐ちゃん。

「ないよ」

 サラリと答える疾風に、ちょっとイラつく私。
 あったでしょ!?
 お姫様抱っこ、って大きなイベントがあったでしょ!?
 ムムム。不満。私は口をへの字にしてそっぽを向いた。
 私だけドキドキして、悔しい。

 そう思って疾風を見ると、疾風の耳がほんのりだけど赤く見えた。
 あれ? 疾風も実は照れてる?
 意識してないふりしてるだけかな? 
 なんて気づいてしまうと私の方がますます意識してしまい、顔を熱くしてしまう。