(ゆが)んだ笑顔でクスクスと、女の子たちが笑う。
 後ろから聞こえたその言葉に、ゾッとする。嘘(うそ)でしょ!?
 えっ。さっきの会話って、わざとだったの!? 
 私は泣きそうになって唇を噛んだ。悔しい。
 なんで私がこんな意地悪されるの。何もしてないのに。
 そう思うのに、反論どころか彼女たちを弱くすら(にら)みつける事だってできない。

「読書好きなふりしないでくださーい! 宇宙人小花さん」
「田舎に帰れー」

 当てつけのようなその言葉に、私はその場を飛び出した。
 やっぱりこの田舎っぽい訛(なま)りや方言はダサいんだろうか。
 あか抜けないことは悪いんだろうか。
 みんなみたいに、都会にオシャレで馴染(なじ)んでる方が偉いのだろうか。つらい。
 何も好き好んで田舎に望んで生まれた訳なんかじゃないのに。私だって、都会に生まれていれば……。
だけれど、青い海が近くて、森林を走り回る事ができる良さをあの子たちは知らない。    
 眩(まぶ)しくて暖かな太陽を背に川遊びしたりする楽しみも知らない。

 だけれど私は知っている。
 田舎はいいんだぞ。そう自分に言い聞かせて逃げる。
 なんて、私は(みじ)めなのだろう。未練がましく何度も後ろを振り返る姿は、まるでナメクジのようだ。


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