「温かいから、落ち着くと思うけど」
「稔」
「べ、別に僕が言い出したわけじゃないからね!」
「あは」

 ワタワタする稔に、思わずみんなで吹き出す。なんだか、悩んでいることがどうでも良くなってきた。
 大丈夫。私はひとりじゃない。孤独に思い詰める必要はないんだ。
 たまに、真っ暗闇で一人迷子になっているような錯覚に陥っていた。それは本当に、勘違いでしかなかったんだ。
 私はみんなに見守られてミルクティーに口付ける。

「おいし」

 次第に表情がほころんで、ふんわりした気持ちになった。

「小花さん」
「保健の先生、なんですか?」
「ご両親に、保健室登校のこと、伝えていいかしら」

 笑顔で、保健室の先生は私に尋ねた。
 そういえば、ずっと曖昧(あいまい)にして誤魔化してきたっけ。

 でも、今なら。