「辛かったね、明日花ちゃん」
「っ、くっ、ふえ……可憐ちゃん」
気がつけば私は、可憐ちゃんに抱き締められていた。
彼女から放たれる甘い匂いに心が安らぐ。
溢れ出る涙を私は止められない。
滝のように、どんどん涙は流れ、可憐ちゃんのセーラー服を汚していく。
私はどれほど大泣きしてなかったのだろう。どこかで、誰かに心配をかけないようにと歯止めをかけていたのかもしれない。
泣いたら、みんなが困るから。
だから、私はなるべく普通でいないと。笑顔は無理でも、泣かないようにしないと。そう、どこかで自己暗示をかけていたと思う。
「これ、飲めよ」
「疾風。何これ。甘そう。ミルクティー?」
美味しそうな匂いのするミルクティーを、稔が淹れてくれて疾風が渡してくれた。