「うん。まあ目立ってたから。でも、事故で部活にいられなくなった。ちょっと親友と色々あったのもあって」
「……そうなんだ。大変だったね」

 やっぱり、みんな訳ありなんだ。疾風は困り眉で続ける。

「こんなふうに軽く言えるようになるまで結構しんどかったけどね」

 疾風は苦笑いを浮かべる。そして、次は可憐ちゃんの方へ向いて、二人は頷き合う。そして可憐ちゃんが前に寄ってくる。

「あたしは自分で言うのもなんだけど、シンプルに可愛すぎて浮いた。女の子的な嫉妬だと思うけど、それ以上に立ち回りが下手で友達が作れなかった。以上」

 シンプルに答える可憐ちゃんの目は涙で揺れていた。こうやって軽く言うのが限界なのだろう。そして次は稔の番。

「僕は漫画を描いてたらオタク、キモいって言われて原稿破られた。理由はわかんないけど、嫉妬じゃない?」

 納得いかなさそうな稔は顔をすぐに背(そむ)けた。なるほど。
 だからこの前原稿をやる時隅っこで作業していたのか。
 今も原稿は厳重にクリアバッグに仕舞われているようだ。鍵までついたバッグなんて、普通は売ってない。

「みんな、こんな感じだからさ。安心してよ。明日花。本当は言うのは早いかなって思ったんだけど、明日花が何か不安そうだったから」
「疾風、稔、可憐ちゃん」

 ピクリと稔が動く。そして不満げに言った。