ぼんやりと、高校へ行けばどうにかなるんじゃとか、考えるけれど。
 そもそもこのままじゃ高校にすら行けないわけで。
 そう。わかってはいる。
 けれど意識すれば体が重くなってきて何もできなくなるのだ。そんな時。

「そういえば、俺ら明日花に話があるんだ」
「何? 疾風。今更」
「俺らがここにいる理由、話してないなって」
「え?」
「明日花側には無理矢理言えって言わないから、聞いて欲しいだけなんだ。俺たちの事情。仲間だからさ」
「疾風」

 柔らかに笑って、疾風は言った。

「明日花だけ、つらいなんてことないんだよって、わかって欲しいから。押し付けがましいかもだけど、聞いて」

 深呼吸をして疾風は私の横に座る。距離が近すぎてドキドキした。
顔、私の耳にくっつきそうだよ、疾風。なんか、シャンプーのいい香りがして本題を忘れそうになるし。

「俺はさ、サッカー部でまあ、エースだったんだ」
「私、噂で疾風のことは聞いたことある」

 イケメンとして、とは言えないけども。