怖い。怖いよぉ。
　それでも迫り来る尿意は待ってくれない。決壊(けっかい)である。

「ひっ」

　生暖かいものが太ももから音を立てて伝っていくのが分かる。
　ショワショワ、と恥ずかしい音が静かな保健室に響き渡る。
　音が立つたびに羞恥(しゅうち)心(しん)も一緒に増していく。だって、私、今疾風たちの前で。やだ、やだ。やだよ。
　恥ずかしい音を立ててオシッコを漏らしていく私を、可憐ちゃんは冷静に見てた。
　そしてすぐに先生にタオルを持ってくるよう指示をしたのだ。

「大丈夫？　明日花ちゃん」
「可憐ちゃーん」
「男子は下がってて」

　すごむ可憐ちゃんに、男子ふたりは言われた通りに従う。
　先生は対応をすぐにして、オシッコを出し切った私をぎゅっと抱きしめた。

「小花さん、気づいてあげられなくてごめんね。きっと教室の近くのトイレに行きにくかったのよね」
「せん、せぇ」

　ブワッと大粒の涙が溢れて止まらない。恥ずかしい、悔しい、惨(みじ)め。いろんな負の言葉が溢れてそれも止まらない。