「可憐もいい事務所に移ったんだろ? 確か」
「うん。もっと本格的に芸能活動がしたくてね」

 得意げに柔らかな髪の毛を触る可憐ちゃんは今日も可愛い。

「さすがじゃないか」
「当然よ」

 鼻を高くして言う可憐ちゃん。みんなも笑う。

「寂しくなるね」
「そう言ってくれると嬉しい。明日花。そして、明日花には戻ってきたら話があるんだ、待っててくれ」

 窓から入る太陽の光を背に頭を軽く下げて疾風は言った。
 じっと私を見る目には強い意志が宿っていた。

「え」
「大事な話なんだ」

強い口調で疾風は言い切る。少し顔が赤い。