「友希子ちゃん、トイレ行こう」
「うん、明日花ちゃん」
二人でそうやってつるんでもそれなりに楽しいけれど、ちょっぴり切ない。
ひいやは一番地雷扱いで、単体では誰も会話してくれない感じだ。
まあ、扱いにくい気持ちはわかるけれど、ひいやは意外とアグレッシブで、自分からグイグイいくので問題はない。
「あ。疾風がグランドで遊んでる。審判だけど。おーい、疾風、がんばれ!」
「俺運動は何もしてねぇけど!?」
笑いながら振り向く疾風。
声はお互いに張り上げている。周りがみんな私たちに注目するぐらい大声だ。
「えへへ。久しぶりに声かけちゃった」
私はふざけるように笑い、舌をペロリと出した。
するとチームメイトに声をかけて集団から抜けてきた疾風が、こちらに寄ってきて優しく私の頭を撫でた。
あ、手おっきい。しかもおひさまみたいに暖かい。胸がキュンとする中、私は必死で普段通りを装う。
「元気? 明日花」
白い歯をきれいに見せて笑う日焼けした疾風。
うーん、やっぱりかっこいい。久々に疾風の超気持ちのいい笑顔が見れて感動。
「うん。超元気。疾風は?」
「体はまだ色々病院行かなきゃだけど、元気だよ俺」