「これって神楽坂先輩の漫画だろ? 二年生の」
「ああ。あの天才学生漫画家だっていう」
「すごいよなあ。なぜか急に美術部に入ったらしいぞ、神楽坂先輩。帰宅部だったのに」
「俺も美術部に今更入ろうかな。この学校漫画研究会とかないしなぁ」
「仲良くなりたいよなぁ、神楽坂先輩」

 こんな会話に私はニッコリ。
 この子らは、いじめに加担もしないけれど、うまく立ち振る舞えなかった不器用な子たちだ。
 それはそれで居心地が悪かったに違いない。たまに私たちと怯えながら会話を交わしてくれる。
 いつか仲良くできればな、と勝手に思う。

「小花さん、プリント回って来たよ」
「あ、ありがとう」

 私本人はと言うと、友希子以外のクラスの女子とはまだぎこちない。
 何を話しても続かないしうまく盛り上がらないんだ。
 はあ。もっと努力しないと。
 やっぱりチクられたとなると、なかなか関わりたいと思わないよねえ。
 腫れ物扱いにもなるのはわかる。

 でも、そうするしか出来なかったんだよね。私たちだって自分を守りたい。
 誰だって自分を自分で守る権利はあるんだから。