「知るかよ。小花。お前らみたいに俺らドンくさくないからいじめられたことないし」

 ニヤニヤといじめの主犯格は言った、

「いじめはゲーム。誰が本当に力があるか見せつけて、社会の縮図を見せつける社会勉強。俺はお前らに教えてあげているのさ。お前らじゃ社会を生きていけないってね」
「なっ」

 私は思わずいじめの主犯格を睨む。
 ひいやは唖然(あぜん)としてはいるものの、泣いていない。
 友希子はチョークを折った。
 いじめの主犯格は得意気に鼻を鳴らしながらひいやに歩み寄る。

「自由? 自分らしさ? 努力? 全部無駄だよ。それで誰かが不愉快になるってわかんねぇの? みんなに合わせる努力のほうをしろよ」
「だって、ボクはボクだし」
「みんながそう生きてれば足並み揃わねぇよ」
「それはそうだけれど! 揃える時揃えればいいじゃん。普段まで他人が縛る必要ないし、そもそもあんたに服従する必要性もない。私たちはひとりの人間だよ! 人権があるの」

 私も反論に加わった。

「大体今のクラスのリーダーは俺だから、指揮を取るのも俺。俺がお前らふたりをいじめようって言えばそれが正義なんだよ! バァカ! 死ね!」

 いじめの主犯格が叫んだ時。