そりゃね。いじめをこの世から無くしたりはできないけれど。
 岡崎先生と目が合った。私は思わず強く睨みつけた。
 岡崎先生は不思議そうに目を大きく見開いた。どこにでもいる、メガネをかけた地味な男の先生だけれど、どうしてもっとクラスのために動いてくれないのだろうか。

 よし。放課後に保健室の先生に言ってみんなで声をかけに行こう。
 人はできることが限られているけれど、それでも私はひいやを、友達を助けたい。
 できる限りをして、私みたいに不登校になっちゃわないようにしたい。いや、絶対する。
 だって私は本気なんだから。

 私たちが動かなきゃ、何も変わらないままだ。
 そんなの嫌だ!! 
 
 私は私のためにひいやを助けたい。
 エゴだってわかっていても。痛みを知ったものだからこそ、この教室を変えたい。無謀(むぼう)? 

 わかっているよ。
 そんなの。それでも、知らないふりだけはできないから。

 私は、行くよ。

***