廊下を歩けば、疾風が歩いてきてクラスメイトらしき先輩と笑い合っている。
 当然私も目があって手を振る。うん、今日も疾風は元気そう。
 よかった。
 本当によかった。
 疾風はなんだか顔色も良くなってきた気がするし、体調も良さそうだ。
 そして、また背が伸びた気がする。
 どこまで伸びる気だ、疾風。

「内浦さん、サインちょうだい!」

 廊下にまで響く大声で、女の子が叫んでいるようだ。

「いいよー誰宛?」

 笑い声混じりの可憐ちゃんの声はすごく楽しそう。
 きっといい笑顔してるんだろうなあ。