「そうだな。頑張ってみるよ。ありがとう。委員長。じゃあ、みんな気をつけて帰るんだぞ」

 疲れた顔で岡崎先生が笑っていた。
 ホッとした様子でため息もつく。

「はい、岡崎先生。さようなら」

 友希子が代表するように答えた。

「ああ。さようなら」

 手を横に振る岡崎先生と保健室の先生を背に、私たちは保健室を出た。
 そしてみんなでため息をつく。

「疲れたね、ひいや」
「うん、明日花ちゃん。友希子ちゃんも、ありがとう」
「いえいえ。委員長として当然のことをしたまでだから、うち」
「少しずつ前に進んでいくといいね。岡崎先生約束守ってくれるかな?」

 ひいやが不安そうに言った。

「大丈夫だと思うよ、明日花ちゃん。うちは信じてる」

 あの目は嘘をつかない目に見えた。
 信じたい。
 すぐにクラスの中がきれいになることは絶対にないと思うけれど……。
 聞き取り調査をされるだけで、いじめっ子は自分の行動がバレそうだと警戒しそうだし、それに期待する。
 世界が変わっていく。
 私たちの世界も、みんなの世界も、何もかもが、少しずつ。
 毎日見えない所で目まぐるしく変わっていくのだーー。
 
***