「どんな人も学業を受ける権利はあるし、いじめられる義務なんかないんですよ。岡崎先生、もっとクラスのことを、ユカリさんの事も考えてあげてください」
「……わかった。もっと内密にいじめについて調査しようと思う。で、いじめがあれば見えない所で取り締まるよ。絶対にな。樋口、すまなかったな。そして、小花も。教えてくれた委員長もありがとうな」

　小さすぎる声で、力無く岡崎先生は言った。私たちはにっこり微笑んで頷く。
「よろしくお願いしますね、岡崎先生」
「花野先生も、すみません。お手数をおかけしました。俺のクラスの事なのに」

　頭を何度も下げて岡崎先生は言った。
　なんだかんだで、素直な先生なのかもしれないなあ、岡崎先生って。
　言われたらすぐ理解してくれてよかった。本当によかった。

「いいえ。他面的に見ないと物事の全体像は見えませんから」
「はあ……紅茶、美味しかったです。ごちそうさまでした」
「ありがとうございます。さあ、もう遅いですし、明日花さんたちは帰りましょうね」

　保健室の先生は私たちを撫でながら言った、

「はーい花野先生」

私は元気よく返事をした。

「委員長、ユカリについてまた聞かせてくれないか」
「自分で聞くのが一番ですよ。岡崎先生」

　友希子が岡崎先生に正論を突きつける。