「あの、それは冗談だよな? ユカリはいじめられてなんかないよな?」
「お父さんには言えなくて、苦しいとも言っていましたよ。どうせ助けてくれないし、ともボヤいていました」
「!? なんで俺が助けない!?」
「適当な人だから、とユカリちゃんは言っていました」

 はあ、と友希子は深いため息をついた。私たちも白い眼を岡崎先生に向けた。
 保健室の先生に至っては完全に呆れきっている。
 岡崎先生はもう泣きそうなくらい数分無言だ。
 まあ、岡崎先生のクラスへの対応を見ていればそう娘さんが思うのも無理はない。
 いつだって何かの片手間で、最低限怒られないレベルに無難な事をとりあえずしているだけに見える、熱意を感じない先生だし。
 そしてクラスの表向きしか見る気もないし。
 こりゃ、娘さんが自分を助けてくれると思えるわけがない。

「いじめは、大人が守るべき問題です。そりゃあ本人も戦うべきかもしれないけれど」

 私は言う。そして続ける。