「あたしの名前は内浦可憐(うちうら かれん)。中学一年生。あたしの事は普通に可憐で良いけど?」

不服そうな可憐ちゃんは、声もアイドル歌手みたいで可愛かった。
彼女の長い髪の毛は、少しカールしていて。なんだか綿菓子みたいな印象を受ける。
きっとすごくフリフリのドレスとか似合いそうな、甘い綿菓子みたいな感じの女の子だ。天使、妖精、お人形……どのあだ名でもあだ名負けしなさそうな美貌。羨ましい。
続いては。

「僕は神楽坂稔(かぐらざか みのる)だよ。君より年上の中学二年生。君の先輩だよ。ちなみにプロの漫画家の仕事をしてるから、僕の事はソッとしといて。そう、プロのね!」

 黒髪で目が隠れた男の子は稔と名乗った。華奢でどこかひ弱そうに見える。某お化けの某太郎みたいな。親父はどこかしら。
なんて。うっすら黒髪の隙間(すきま)から見える素顔はかなり色白で目の下にクマがついていた。

「はい、ありがとう」

 眠そうな稔に対して、疾風先輩がパンパンと手をたたきまとめる。
 けれど。
 なんでわざわざ保健室のみんなは私に対してそんな丁寧に自己紹介をするんだろう?

「みんな、明日花みたいな子たちだから」

 そう思っていると、私を真剣に見て疾風先輩は優しく言った。