「それはうざい」

 困った顔で笑って疾風はそれを遮(さえぎ)らずに受け入れた。

「えー疾風。照れるなよ」
「疾風ごめんなぁ。怪我させちまって」

 一番大柄な短髪の太眉な男の子が疾風にまっ先に抱きついた。完全号泣である。

「いいよ。気にすんな。照れてない。嬉しいけれどな」
「やっぱ嬉しいんじゃん」

 小突かれる疾風はすごくリラックスした表情をしていた。
 みんなも無邪気で子供っぽい表情で笑っている。まるで幼稚園の子供たちみたい。
 とても先輩の姿には思えないぐらい、正直可愛かった。
 男の先輩たちに、女の後輩の私がそれは失礼なのはわかっているんだけれどね。

「アハハハハ」

 楽しそうな雰囲気の廊下に、私はほっと胸を撫で下ろす。
 よかった。疾風も無事クラスに溶け込めそうな感じだ。
 むしろ、前より友情極めちゃった感じがする。いいなあ。
 さすが疾風は人望が熱い。
 このままサッカー部にも復帰できればいいね、疾風! 
 今現在サッカー部関係についてはまったくどうなっているか知らないけれど……。

「うん、よかったよかった」

 私は独り言でそう呟く。