可憐ちゃんの真っ直ぐさがクラスメイトに届いたようだ。
 そりゃあ、全員と仲良くは難しいけれど……それでも、真由も人間だから。

 前向きに考えれば、いつかは変化があるだろう。
 このまま可憐ちゃんが変わっていけば、まだまだ仲良くなれるチャンスもあるし、別に仲良くする必要も実はないのかもしれない。
 いじめっ子を絶対許すなんて、そんなの綺麗事で。

 別に絶対にいじめっ子と仲良くする必要はないと私は思う。
 当然、最低最悪ないじめ返しは問題外だけれどね。

「今度一緒にパフェ食べに行こう! 可憐!」
「あ、ずるい。買い物に行きたい。だって可憐ってオシャレだし」
「あはは。どっちも行くよー。みんな、名前はー?」

 賑やかな雰囲気を見て安心して、私は可憐ちゃんの教室を離れる。
 一瞬可憐ちゃんをもう一度見ると、窓から差し込む太陽の光がキラキラして、可憐ちゃんの髪の毛を輝かせていた。
 うーん。色んな意味で眩しいなあ、可憐ちゃんってば。

「ヨイショ」

 私は階段を降りていく。
 なんとなく切ない気持ちになりながら。環境はすぐには変わらない。
 それは私の環境だけじゃない。