でもそのまま階段を降りて行けば二年三年と稔と疾風の教室にストンとたどり着けるから便利だ。
一年生は三階で、二年生は二階、三年生は一階に教室があるので。
帰りを考えれば逆の方がいいのかもしれない、だけれど、私は疾風の教室を最後に回したかった。
だから。
「見えた、可憐ちゃんの教室だ」
ザワザワと賑やかな教室に、可憐ちゃんがいる確証はなかった。
だけれど。
「いた。やっぱり、ひとりぼっちだ」
可憐ちゃんはそこで少女向けのファッション雑誌を読んでいた。
いつも通りおしゃれな髪型で、気合の入った持ち物で背筋を伸ばして雑誌を見つめている。
クラスメイトは時々可憐ちゃんを見ては目をそらす。
だけれど可憐ちゃんは彼らと目を合うとニッコリ笑うのだ。
可憐ちゃんはやっぱり可憐ちゃんだった。どこにいても自分らしさを変えて周りに合わせることもせず、ありのままの可憐ちゃんだった。
一瞬私と可憐ちゃんと目が合いそうになったので私はサッと柱の後ろに隠れる。そして稔の教室に向かう事にした。
そんな時。