保健室の先生の言葉に、首を横に振る私たち。
 全然知らなかった。
 そんな事、できるんだ。
 そう思うと私の肩の荷も軽くなった。

「けど、いじめっ子が逃げたって笑わないかな」
「笑わせとけばいいのよ。ひいや君」
「でも」

 ひいやが決まり悪そうに目を逸らす。
 私も多分ひいやと同じ気持ちを抱いている。
 後ろ指を刺されて、笑われる筋合いはないしむしろ後ろ指を刺されるのはいじめっ子たちだって頭では理解しているけれど、けれど……。

「そんな簡単に踏ん切りつかないわよね。じゃあ、先生の友達の話をしてあげましょうかね」
「先生の?」
「ええ。明日花さん。あのね。先生の友達の子が、高校で色々あって不登校になっちゃったの」
「高校で?」
「そうよ、ひいや君」

 高校で不登校なんて、大変そうだ。
 中学と違って義務教育じゃないし。
 何より受験してなんとか入った高校だから、不登校になったら周りの目も痛いだろう。