「先生、男の子とか女の子ってカテゴリは、そんなに大事なものですか? ボクは、もっと自由に振る舞って自分らしく生きたいです」

 ひいやの声は震えているけれどしっかりとした意思が込められていた。
 強い目線で、ひいやは保健室の先生をじっと見つめる。
 それを保健室の先生が笑顔で返す。

「そんなの当然の権利よ。ひいや君はひいや君の人生を生きてるんだもの。誰にもその人生を踏み荒らす権利はないのよ?」
「先生、でも。ボク学校へ行くのが苦しくて。今は明日花ちゃんがいるけれど、来年度とか、その」

 困ったようにひいやは私と保健室の先生を交互に見る。言いたいことは嫌なほどわかる。
 クラス替えは、私も気にしてる事だし。私の場合は来年度に可憐ちゃんと同じクラスになれたらなって事だけれど。 
 まあ、それは置いておいて。
 今はひいやの話だ。

「ひいや君。そんな時はフリースクールや転校もあるし、またその時いい子が友達になるかもしれないわよ。不安だろうけれど、なってみないとわからない所が正直あるわ」
「転校って、でも。お金とか」
「引っ越さなくても転校はできるのよ。知っていた?」