「は、はい」
中には色素の薄い小柄で華やかな容姿の美少女と、長い黒い前髪で顔のほとんどが隠れた男の子がいた。
みんな空気を読んで、一瞬だけ私を見て視線をそらす。このふたりも、どこかで見た気がする。
特に美少女は、いるだけで圧倒的存在感を放ってるし、西洋のお人形さんみたいだ。
保健室自体は小学校の頃とそんなに変わらない。白を基調に色々なものが置いてある。ベッドもある。ただそれだけだった。無機質な部屋に、ほんのり薬剤の匂い。そこに、私を含め五人の人間がいる。
「顔色、さっきよりは良くなってきたみたいだね」
スゥと頭に触れる疾風先輩。肩幅につい、視線がいく私。男の子に慣れないから意識してしまう。恥ずかしい。
「疾風先輩」
「明日花。一応熱測って」
「はい」