パッと私が読んだことのある本を読んでいる女の子を目にする。
 長い黒髪をお姫様みたいにカットした女の子らしいたれ目の可愛いらしい子だ。
 隣には仲良しの女の子らしき子がいて、たまに楽しそうにゆったりとおしゃべりしている。

「あの、こんにちは!」

 図書館のとある席に近づき、私は声を張り上げすぎないように彼女に声をかける。

「こんにちは、えっと。小花さん?」

 女の子は私を見上げて首を傾げる。
 そうだよね、急に話しかけられてビックリしたよね。 
 そう思い私は柔らかな声を意識する。

「うん。そうだよ。その本、面白いよね。私もヒロインの頑張りが好きで勇気をもらったよ」
「! そうなの! アタシも大好きで……ヒロイン頑張り屋で可愛いしかっこいいし、ヒーローも超魅力的だよね!」
「そうだね! ヒーローが守ってくれるからヒロインが勇気出せるんだよね」
「わかるー!」

 女の子の言葉に私も女の子も目を輝かせてうんうんと頷く。
 あの作品は恋愛小説でもあるけどファンタジー要素もあってすごく濃厚な作品なんだよね。
 絵もついていて可愛い挿絵に心が弾むいい作品だ。
 もう十巻以上も出ているし、刊行ペースも早い。
 アニメ化の噂もあってとても人気のある作品だ。