「あー！」
「？」
「なんでもないですっ！」

　今気づいた。この人が噂(うわさ)のイケメンの先輩だ。どうりで、綺麗な顔をしているわけだ。あのサッカー部のエースだっていう噂の、人気の疾風先輩その人なのだから。
　ああ、だから彼は背も高くて大人っぽいんだ。納得。
スラリとした身体全体が、よく見れば筋肉質だし、って私どんだけ疾風先輩を見てるの。意識しすぎて恥ずかしい。脚長い。まるでモデルのようなスタイルの良さ。

「小花明日花ちゃんっていうらしい。先生、とりあえず保健室あげていい？」
「良いわよ」

　疾風先輩の言葉に、ふっくらした体型の眼鏡の女性が現れる。
ああ。入学式で少し顔を見たことがある。この人がきっと保健室の先生だ。白衣を着ていて、なんだかおっとりした雰囲気。

「入って、明日花ちゃん」

　にこやかに、保健室の先生は私を保健室に迎え入れる。