「ウッゼェ」
「同じ言葉を返すね」
「ムーカツクー!」

 いじめっ子のボスが地団駄を踏んで私たちを睨みつける。
 だけれど、全然怖くない。
 やってる事も行動パターンも全部子供みたいで、ひどく幼稚だ。
 そうこうしている時に。

「先生、見えたけど? いいの? こんな状態で。怒られるよ?」
「委員長」

 クラスの委員長と言われた三つ編みおさげの女の子(ついでにメガネをかけていて、絵に描いたザ・委員長って感じ)がボソリと言った。

「クッソ! 覚えていろよ!」

 どこのチンピラだよ、と思う捨て台詞をいじめっ子のリーダーが吐いた後、呆れながら私たちは席に着く。
 中年男性の担任があくびをしながら、眠そうにやってくるのが本当に見えた。