ザワザワと私の周りに人だかりが出来る。樋口が心配そうに私を見るので、視線で大丈夫だよと目配せする。
 大丈夫、君は悪くない。
 まったく悪くないんだから堂々としてればいい。
 悪いのは、女の子みたいな仕草や性格なだけでいじめをするクラスメイトたちだ。それは絶対だと言い切れる。

「うん、ボクもいじめになんか絶対に屈しないから」

 強い口調で言い切る樋口。
 その瞳には強い意志が込められていた。
 
「樋口、テメェ! 生意気だぞ!」

 するといじめっ子が雄叫びのような声を上げた。

「いや普通に何も悪くない他人をいじめる方が、生意気っていうか人権無視だけど?」