「ああああああああああああああああ!! もうこのキッショいゴミ捨ててやる!!」
「やめて、ぬいぐるみを捨てないで!!」
「嫌だね! お前もそのうち窓から捨ててやるよ! 生きる生ゴミのくせにピーチクパーチクうるさいんだよ! クソぶりっ子男!!」

 いじめっ子が樋口から奪ったぬいぐるみを引きちぎろうとした。
 その瞬間、私の足がとっさに動いた。そして、私は樋口を庇いながら強く叫んでいた。

「やめなよ!!」

 と。そして畳み掛けるように私は言った。

「いじめは最低だよ。やめなよ! みっともない!!」

 ぬいぐるみを奪い取り、樋口に渡した。樋口が嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめて私の背中に隠れる。
 やっぱり本当は怖くてたまらなかったらしく、体が震えている。ぐすん、という涙をこらえる音も聞こえた。

「お前、確か保健室登校の小花じゃん!」
「そうだよ。それが何か? 保健室登校で何が悪いの?」
「ハブられもの同士馴れ合いかよ」
「違うけど?」
「お前も保健室に帰れよ。どうせ問題あるから保健室に行っていたんだろ。空気読めないやつはこのクラスにいらねぇよ」
「いらないのはいじめの方だよ。馬鹿じゃないの。中学生にもなっていじめとか、ダッサ」
私は震える唇で言った。
「はあ!?これはいじめじゃない、正義の裁判だよ! 制裁だよ! 樋口がキモくてこのクラスにとって邪魔だから」
「ふぅん、そうなんだ」

 私は冷ややかな目でいじめっ子たちを見た。

「そうだ! いい事思いついた。小花、お前も仲間になって樋口を罰しようぜ? そうすれば楽しく学校生活が過ごせるぜ」

 ドヤ顔でいじめっ子は言った。
 私はかなりイラついた。