聞いていてかなり不愉快で、私はイライラした。
 確かに学校にぬいぐるみを持ち込むのはマナー的には微妙かもしれない。
 だけれど、それは自分の自由じゃないかな。
 今の今まで先生に取り上げられてないんだから、きっと先生は見逃しているんだろうし。
 どうしよう。

 この場合どう動けばいいのだろうか。いじめはダメだと思う。
 だけれど、相手は大柄な男の子だ。百七十センチぐらい、中学一年生のくせにある。

 対して私は百五十五センチのスポーツも何もしてない華奢な女の子だ。
 喧嘩になればすぐに負けるだろう。どうしよう。
 怖い。先生を呼んでこようか。でも。
 
「なぁ女子、樋口ってキモいよなー」

 いじめっ子がそばにいる女の子に目配せして言った。
 女の子は深く頷いてニヤニヤして樋口を見る。