「明日花、明日花、どこへ行くの?」
「行かないでよー」

 懐かしい村の子たちが私に呼びかける。
 私はにっこりほほ笑んで、彼らに手を振った。

「ごめんね。私、新しい場所へ行くから」

 そう言って彼らにさようならを告げる。

「寂しいよー明日花―」
「行かないでー!」
「うわあああん、明日花ぁー」

 村のみんなが泣きじゃくって私に抱きついてくる。
 私はヨシヨシと彼らを撫でた。
 次第に、彼らはぼやけて見えなくなっていく。

「私も、寂しい。でも、もう行かなきゃ」

 もう、過去にしがみついていてはいけない。そんな夢を見て、目を覚ました。いい天気の朝だった。