青い空に明るい太陽。そんなもの、私には関係ない。
カーテンは閉め切るし、外へだって出ないのだから。
「明日花、ご飯置いとくわね」
「うん、ママ」
ほとんど引きこもるようになった私は、トイレとお風呂以外は部屋を出ない。
ママが借りてくれた図書館の本を読んで時間を過ごすだけの日々だ。
新聞も、居間にあるテレビも一切見ない。だって、世間のニュースを知ると今の自分との比較で悲しくなるから。
周りは日々動くのに、私はまったく変わらないままだし。
このまま夏休みになれば、もう学校へ行くことはないだろう。
堂々と休んで、そのまま引きこもり人生まっしぐらだ。
今もまだ、濃厚な夢を見る。今は村じゃなく、前までの保健室での楽しかった日々を。
笑顔の可憐ちゃんが紅茶を淹れて、漫画を描いている稔に紅茶を運ぶ疾風。
もう二度と、手に入らない幸せだった日々。泣いても叫んでも手に入らない日々。
なんで写真もろくにないんだろう。
ああ、でもあったら見るだけで泣いてたからなくていいのかな。
可愛くて強かった可憐ちゃん。だけれど繊細で、少し感情的になりやすいから心配だ。
気が小さい割に虚勢を張る稔は美形のいまだ厨二病の稔。なんだかんだで優しくて、大好きだったなぁ。
イケメンで、世話焼きで、周りばっかり面倒見ている疾風。疾風自身の大事なサッカーのことはどうなったのか、すごく気になる。
そんな三人のそばに、いられるなら私はなんでもやるけれど、きっと彼らは自分の教室にいることを選ぶだろう。
だってみんなが自分から出て行ったのは私を勇気づけるタメでもあるのだから。
なのに、ごめんね。
私は負けてしまった。
恐怖で学校から逃げてしまった。
ごめん、ごめん、本当にごめんなさい。