「僕だってそうなりかかったし僕が言うのも何だけど、人を見下して自分を救うために言い訳すんなよ! 情けねぇ!」
「稔」
「それも、大事なふたりを自分正当化する理由にして、情けなすぎるだろ!? アイツらのこと好きだろ!? 尊敬していただろ!? 違うのかよ!!」
「それは」
「僕は好きだよ。可憐の事も、疾風の事も、いなくなっても大好きだから悩んだり苦しんでいる!!」
「み、の」
「けれど!! そのふたりのせいに自分が頑張れない理由を押し付けるのは僕はもう嫌だ!!」
「えっと」
あまりの稔の迫力に私は固まったまま動けない。
その後も、稔は泣きながら叫び続ける。
「僕だって教室に行けないのは、誰かのせいだって思った方が気楽なのはわかる。だからそうしてた」
はあ、と稔は大きな息を吐いて続けた。
「だけれど。疾風はとにかく可憐にまで先を越されて、あんなつらい教室で頑張ってる姿を見て、それでも馬鹿にする気持ちは理解できないし、したくもない!! 明日花は大馬鹿者だよ!!」
「ごめ、ん」
そんな稔に対して震える声で、謝るのが私の精一杯だった。
「僕たちに見本を見せようとしてるアイツらを、笑うなよ。本当はアイツらだって逃げ帰りたいんだ」
「じゃあ」
「でも、そうすれば後から行こうとする僕たちが絶望するから我慢して無理して踏ん張っているんだよ。明日花」