「あいつらは出来る奴だから戻る気になれた。普通じゃない、僕たちが普通なんだよ。あっちが異常」
「そう、かな」
「絶対そうだよ!」

必死な口調で稔が叫ぶ。

「僕はもうあんな怖い思いはしたくない。あいつらドMかよ!? 苦しいからここに逃げてきたくせに自主的に苦しい場所に戻るとか、有り得ねえぇえええ!!! バカなのか!!」

 その言葉には、稔なりのふたりへの心配も含まれているのがわかった。
 自分が味わった苦痛や痛みを、ふたりにはまたして欲しくないのだ。
 それは、私だってそうだ。
 教室が楽しかったなら、それぞれこんなに長くはここにはいなかっただろう。
 みんなそれぞれ教室へ行けない理由があったから、保健室にいたわけで。
 つまりは教室へ行くのは容易い事じゃなかっただろう。
 わかっている。だからこそ心配する気持ちや嫉妬にやっかむ気持ちも湧いてくる。

「どうせ疾風の真似だろ!? 何なんだよ! そんなに僕らだけじゃ一緒にいてもつまらないかよ!!」
「稔っ」
「そうだよな! 人気者出身の疾風と陰キャの僕じゃ比べるまでもないよなっ、わかっているよ!!」
「みーのーる!!」